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2009年7月26日 (日)

そんなあなたに『補給戦』

と軍事板に勧めてあって、読んでみたのが中公文庫BIBLIOの『補給戦』。
文庫のクセして1500円もするのは、ココだけの話だ(苦笑)。

ちなみに書かれたのは1980年であり、ソビエトによるアフガニスタン侵攻が如何して失敗してしまうかを予見している中身なのに注目だ。

軍事行動における必要とされる輸送リソースの中で、食料はそれほど重要ではなくむしろ現地調達が可能な限り食料不足が軍事行動を掣肘するものではない……極端な話、現地徴発を求めて進軍ではなく放浪してしまう(苦笑)近代前軍隊の実像。補給・通信システムを完備しようとしたナポレオンの先見性。輸送に必要な飼馬、のちに燃料の問題。鉄道システムと輸送・補給のボトルネック理論。トラック輸送による柔軟性の確保と、それに対する過剰な指揮官の要求。輸送に必要なトラック中隊を計算する定数式。
湾岸戦争で多国籍軍がナニをもって勝利と為したかも、わかるのではないのかな?
そう、既に時代は主計兵の戦争の時代なのだ。

個人的には、アメリカ市民戦争(南北戦争)における鉄道システムやミシシッピ川の輸送利用・洋上封鎖・シャーマン将軍の地域インフラ破壊戦とかもあわせて解説してほしかったと思う。その一方で、戊辰戦争における制海権(気仙沼の失陥や函館での徹底抗戦)の意味や、西南戦争での「弾薬の年間製造量を僅か3日で撃ちつくした」田原坂の戦いや「包囲網構築で重要な補給拠点確保」を図った官軍の八代上陸や西郷軍の「食料と人員を求めての放浪の」末の、日向の地での戦闘の意味も理解できそうな気がしてきた。
特に日本国内で戦われた近代戦が、洋上からの補給によって食いつないでいたコトが、近代日本軍の補給軽視に直結してしまったのではないかというコトだ。
実際、日中戦争の時点で、日本軍は港湾での積み降ろし作業が恐ろしいほど手間が掛かるコトに気が付いていたハズで、この戦訓を活かすべく努力はされていたと思う。博徒集団の動員や主力戦車の重量制限や史上初の強襲揚陸艦建造などである。だが、太平洋戦争における現実は、南太平洋の島々に食料や弾薬を補給しても米軍の空襲下では有効な積み下ろし作業ができずに、船腹消耗とあいまって、南方での戦力消耗に繋がってしまったのだろう。

まあ、戦争をする/しないなんて心配するに越したコトはないけど、例えば震災時などに「100万人の被災民に必要な物資をどのように輸送するか?」などの例題の参考にはしておくべきだと思う。
それでは~!

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コメント

私も「補給線」は読んだのですが、か~とさんほど理解できてない…。単線の鉄道二本より複線の鉄道一本の方が輸送力が高いとかへぇーとか思いましたが。

兵站/ロジスティクスに関する著書で最近のものですと、江畑謙介の『軍事とロジスティクス』がお勧めです。湾岸戦争では「とりあえずガンガン運んじまえ」的な輸送だったのが、イラク戦争ではIT(具体的にはRFIDタグというコンテナの位置をほぼリアルタイムで知れる技術)活用によって「スマートな」兵站になったとか。

か~とさんなら既にご存知かもしれませんが…^^;;

投稿: jADE | 2009年8月10日 (月) 01時15分

jADEMETALさん、どうもです。夏コミに向けて体調は万全でしょうか^^;。
あ、ウチは朝イチで到着後、午前中には東京脱出の予定です(笑)。とりあえず、最終目的地は秘密としておきたいのですが^^;、そちらの近くまで乗り鉄旅の予定です。

え~と、単線2本より複線の方が効率が良くなるのは、単線の場合どうしても「列車行き違いのため、5分ほど停車します」とかで、退避線上で待たなければならない時間が発生するためです。そのため、『補給戦』を読まれた他の方のツッコミでは、日露戦争時単線だったシベリア鉄道を効率良く利用するために、貨車の片道輸送を行ったコトを指摘されています。
対して複線ですと、同じ速度で列車を運行できるのなら、そのような行き違い待ちが発生しないコトや、線路が片方破壊されて部分単線となっても本線上に複数の編成を留められるため、ある程度運行に余裕があるのです。
同様なコトは、環状線でトラック輸送を行った、レッドボール・エクスプレスにも言えますね。
ただ、いずれにせよ鉄道輸送のボトルネックは駅での乗せ替え作業です。
個人的には映画とかでよくある、列車を飛び降りてそのまま戦場に叩き込まれるシーン(確か『スターリングラード』とか)なんかに、燃えてしまいますが^^;。
それでは~!

投稿: か~と | 2009年8月11日 (火) 16時41分

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