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2012年11月 9日 (金)

『のぼうの城』みてきた

最近、映画の感想しか書けてない……(泣)。

のぼうの城』みてきた。
「でくを付けられないだけマシだろう」と、直臣から城下の民草までバカにされつつも愛された「のぼう様」こと、忍城城代・成田長親の物語である。
ちょうど良いタイミングで発売された『歴史群像』の特集記事を読まれてから見ても損は無いですよ。

毎度おなじみミリオタ的ツッコミだけど、攻城戦恐怖の五点セットのうち四点(情報の枯渇・士気の低下・内通者の存在・食料不足……に対しては兵糧持ち込み済み)まで出ていただけに、最恐最悪の「疫病の蔓延」まで描かれなかったのがちょい残念。だが一方でひとつ気になったのは、冒頭の備中高松城や中盤での忍城への水攻めシーンである。実際には「潮が満ちてくるかのように」水位が上がり、防御側の生活圏を徐々に奪って行ったかと思われるんだけど、その迫力のあるシーンなだけに「3.11を思い出させるため」として、上映が1年以上も延期され、その山津波表現も緩められたとか。ただ、津波表現の映像の下敷きとしてスマトラ島沖巨大地震があり、その消しゴムとして東日本大震災があったのなら、映像表現のタメとはいえそれぞれの関係者に申し訳なく感じてしまう。そう、ドレスデンや東京を焼き払った美しくも哀しい業火のように。
あと、伊豆山中城を半日で抜いてしまった秀吉軍の猛攻も描いて欲しかったなぁ~。

あ、城攻め緒戦での邀撃戦は必見。水田に足を取られ充分に忍城に接近できぬ状況で銃列を組んでしまった三成軍を馬出からの馬上射撃で粉砕する成田軍に、畦道上での個人の武勇が大兵力を如何に有効利用させなかったのを描くシーンはお見事です。
もちろん、戦場の花である一騎打ちに、煌びやかな当世具足から名主・たへえがしれ~っと隠し持っていた足軽具足に、紙垂で飾られた攻城槌からクライマックスでのネタバレ自主規制+線香にいたるまで、今後の戦国描写の手本となるだろうね。
それから、篭城を前にヘナヘナするのぼう様を守り立てる雑兵たちの鬨の声シーンがお見事でした。

あと細かいトコだけど、冒頭で農民が武士に敬意を表するトコや目上の者への礼儀をきちんと守るトコなど、戦国時代の荒んだ世の中においてでも、忍城城下がいかに安定=治世が成っていたか端的に表現されていたかと。
一方で、攻城戦の攻囲側も、大量動員された兵士や人足に大量にバラ撒かれる銭が、如何に地域経済をお祭り化させてしまうかも見て欲しいトコですね。

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それでは例によって、以下はネタバレ発言です。ネタばれがキラいだとか、ネタばれがダメだとか、ネタばれが許せないなんて方は、ご遠慮願います。

ネタバレ~ネタバレ~ネタバレ~ネタバレ~ネタバレ~ネタバレ~

それだけに、苦労して耕した水田を破壊する三成の所業に対し、農民が怒りでブチ壊したってのも、理解できるかと。

ただ非常に残念なたった一人の人物
(あえて名前は書かないけど^^;……他の作品での演技も決して悪くないのに)のために、全てがブチ壊されちまった感があるのも事実。当時の指揮が知略を徹底させるための人格と腕っ節に頼りがいを求める個人の武勇と何よりも声の大きさに左右されていた以上、そのいずれも満たせない人物が果たしてこの合戦の役に立てたかどうか、疑問なんだよね。せめて、ぐっさん演じる柴崎和泉守の様にステージの上ではなく腹の底から鳴り響かせられるようなシアターでの発音法を学んで欲しいものです。
また、防火&火攻め&銃撃対策として近世城郭に普及する漆喰による防御がなされていない中世仕様の忍城での火計は、間違いなく自陣の炎上によって瓦解するかと^^;。まあ、燃え盛る炎に焼かれ踊る不幸な兵士を演じるのは、スタントマン最高の見せ場ですから、演出上仕方ないかと。
他の皆さん。特に、ダメ城代を必死になって盛り上げようとする正木丹波守利秀の佐藤浩一と、ダメ上司の片鱗を見せ始めていた石田三成への友誼を最後まで通そうとする大谷吉継の山田孝之が良いだけになぁ~。

それから、重要なキーパーソンに 甲斐姫の存在がある。
武芸達者で男勝りな正に実在正統派の姫武将であり、史書にも戦陣にて大活躍したとのコトなんだけど、そんな彼女に敵を切り結ぶのではなく味方を尻に敷くシーンしかないのが残念。
そして、三成軍ほぼ唯一の「戦利品」として、ヘンタイ秀吉のモトへと奪われようとする時の苦渋の決断をするのぼう様の悲しみに、もっと答えてあげるコトはできなかったのだろうか?
オチを少し変えて、切なくても甘い恋浪漫で〆て欲しかったなぁ~。

ネタバレ~ネタバレ~ネタバレ~ネタバレ~ネタバレ~ネタバレ~

かつての忍城のあった現在の埼玉県行田市に残る数々の戦跡を映していくラストに、散策気分を味あわせてくれたのは歴史ファンとして嬉しいものです。

・作品性
 ☆☆
・ストーリー性
 ☆
・メッセージ性
 ☆
・製作陣
 ☆☆
・俳優陣
 ☆☆

以上、10点満点で8点。
狂言師・野村萬斎の見事な所作と舞に感服した上で、☆1つ加点です。
それでは~!

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 職務経歴書 | 2012年12月 2日 (日) 16時56分

職務経歴書さま、こんにちわです。
当方、最近はなかなか更新できない状況ですが、映画やアニメや温泉など、イロイロと「読んでいて楽しい&タメになる」を目標に駄文を書いていこうかと思っています。
また、良い映画の作品のレビューを書けましたら、ご覧になってくださいませ。

投稿: か~と | 2012年12月24日 (月) 20時09分

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